トイレのレバーが戻らない、あるいは動きが悪いという不具合の多くは、便器ではなく、その上にあるタンク内部の部品に原因があります。タンクは、水を貯めておく器であるだけでなく、水を流す、止める、再び貯めるという一連の動作を制御する精密な機構が詰まっているからです。主な原因となる部品とその役割を見ていきましょう。一つ目は「フロートバルブ(フロートゴム)」です。これは、タンクの底にある排水口の蓋の役割をしており、レバーと鎖で繋がっています。フロートバルブが劣化して変形したり、水垢やカビで固着したりすると、レバーを引いても完全に持ち上がらなかったり、逆にレバーが戻っても蓋が閉まりきらなかったりして、水が流れ続けたり、レバーが戻らなかったりする原因になります。二つ目は「レバーとフロートバルブを繋ぐ鎖やワイヤー」です。この鎖が絡まったり、弛みすぎていたり、逆に短すぎたりすると、レバーの動きがフロートバルブに正常に伝わらず、レバーが元の位置に戻りにくくなります。また、鎖自体が錆びて動きが悪くなることもあります。三つ目は「レバー本体の軸部分」です。レバーがタンクに固定されている軸の部分が、長年の使用によって錆び付いたり、摩耗したりすると、レバーの動きが重くなり、完全に元の位置に戻らなくなることがあります。四つ目は「オーバーフロー管」です。これは、タンク内の水が設定された水位を超えても便器に流れ込ませる安全装置ですが、ここに物が引っかかったり、破損したりすると、フロートバルブの開閉に影響を与え、レバーの動きを阻害することがあります。これらの部品は、水に常に触れているため、経年劣化が避けられません。特に、7年から10年程度の使用で劣化が見られることが多いです。不具合が発生したら、まずはタンク内部のこれらの部品の状態を目視で確認し、原因を特定することが解決への第一歩となります。